相続法改正
2019年7月1日(一部については2020年から)から改正相続法が施行されました。
1.配偶者居住権
不動産は、相続財産ですが、配偶者に別途居住権が認められました。不動産が共有又は他の相続人の所有となる場合でも配偶者に無償で居住する権利が認められます。
2.遺産分割
①持ち戻し免除の推定
婚姻期間20年以上配偶者に居住用不動産の贈与を行なった場合、持ち戻しの免除が推定されます。
②預貯金の仮払い制度
葬儀等に使用するため、一定額の預貯金について仮払いが受けられるようになりました。
③処分された遺産
共同相続人によって処分された遺産は、訴訟によって解決するほかありませんでしたが、遺産分割の対象に含められました。
3.遺言
①自筆証書の自筆要件の緩和
改正前は、自筆証書は、全文自筆しなければなりませんでしたが、電子化時代に合わせて財産目録等についてワープロ等による作成が可能となりました。
②自筆証書の保管制度
これまで、自筆証書は、遺失される場合がありましたが、法務局で保管してもらえるようになりました。
③遺言執行者の権限
遺言執行者の権限が明確になりました。
4.遺留分侵害額請求
遺留分侵害額請求は、金銭で清算することになり、手続の円滑化が図られました。
5.相続登記
相続によって、法定相続分を超える不動産を取得したときは、その旨の登記をしなければ、第三者に持分を主張できないことが定められました。
6.寄与料
被相続人の介護をしていた人の寄与料が定められました。被相続人の介護をしていた人(例えば子の妻)の貢献が寄与料という形で報いられることになりました。
7.法定相続情報証明制度
従来相続の手続は、各手続の都度、戸籍謄本を取得し、相続関係図を添付する必要がありましたが、一度戸籍謄本等を法務局に提出すれば、以後は、無料で証明書を発行してもらえるようになりました。相続の諸手続が簡略化されます。